
リゲッタ広報部
職人でつなぐリゲッタの輪 part.2「裁断」



それでは改めてお名前をフルネームで教えていただけますか。

秀山和生(ひでやま かずお)。
昭和21年1月16日生まれです。

リゲッタと仕事をするきっかけは何でしたか?

きっかけは、協力工場さんの三ツ葉シューズです。
本格的に仕事が回り出したのは、本社の古川さんに紹介してもらってからです。
2人がいてなかったら、リゲッタとして仕事をしていないと思います。
いまだに三ツ葉さんと古川さんに感謝しています。

靴が作られていく作業工程で言うと「糊引き」「裁断」「縫製」「圧着」とありますが、 秀山さんが担当されているのは?

最初の生地の投入から裁断までです。



「いかに生地のロスを最小限で抑えられるか」を意識しながら、 型をパズルのように組み合わせて裁断されているのだそう!

「裁断工程」を筆者が初めて体験してみました。
30秒分程の動画です。

リゲッタと関わってどれくらいですか?

三ツ葉さんと古川さんの紹介でしかかったのは約4年弱ね。

裁断としての職人歴はどれぐらいですか?

45、6年と思います。

リゲッタと関わるずっと前から裁断をされ続けていたのですか?

そうですね。
それまではメーカー4社5社携わっていましたが、 最終的にはリゲッタ1本の形になりました。

リゲッタと関わって何か変化はありますか?

裁断場としてメーカーの方たちとお仕事して40年近くなるんですけど、 リゲッタの方針は、他のメーカーと若干違うところがあると思います。
職場を優先的に考えてくれるんで、 現場を遊ばさないような形の段取りをしてもらってる分だけ 仕事量を確保できていますね。

お好きな品番があれば教えていただけますか。

様々ありますけど、夏場までは279ね。
それが終わり次第 5710、5726それ前後してR-302これがうちの主力ですわ。
この主力がなくなるとうちの仕事が完全になくなる(笑)。



お仕事で大事にされている事はなんですか?

現場の人は絶えず考えてる事やと思うけど。
裁断に関しては生地のロスがないように裁断する。
これが基本ベースでやっています。

生地の事で本社と何かやり取りをされるのですか?

ある程度分からん時は古川さんに即電話で確認して、仕事の段取りは三ツ葉シューズと電話で確認してます。
うちの主力はこの二人。

今は裁断をされていますが、前職は何か他のお仕事をされていたのですか?

高校を出て3、4年はうちの親の仕事を手伝って、 それ以後は記憶としてなくなってんねんけど。
他の人の紹介で裁断を始めたわけです。
それ以後ずーっと今まで45、6年それ1本で。
私の人生裁断1本です(笑)。

話は変わりますが、秀山さんはご家族でお仕事をなされているのですか?

生地の引っ張り具合とか、段取りは子供とか家内に手伝ってもらってますけど、 裁断は私一人でやっています。


ご家族構成を教えていただけますか?

家内と長男長女、次女の5人やね。

ありがとうございます。
裁断歴が長い秀山さんですが、 自分の大事にされている言葉であったり格言というものはありますか?

「努力」やな。
あんまり悩まない。
悩むと気力が落ち込むからね。
それがないように。

毎日の習慣は何かありますか?

昔と今若干変わってんねんけど、今は「健康」第一主義で。
あまり暴飲暴食はしないことと、 アルコールも控えめに。

休日は何をされていますか?

休日は私の友達と喫茶店でダベる。
それが楽しみやね。
幼馴染ももう、うちの近所ではたった1人しか残ってない。
週1回やけどお互いの健康の話しとかしてますね(笑)。

健康のどういったお話をされるんですか?

「適度に運動してるか?」とか、「病院は必ず行かなあかんぞ!」とか、お互いね(笑)。

最近嬉しかったことは何でしょうか。

孫ができたことやな。
上が2歳。で真ん中が2歳と2ヶ月かな。
で一番下が生後1ヶ月。
孫はその3人だけやけど、もうかわいくて。
じいちゃんばあちゃんはお金つけてなんぼやから、小遣いなくなってます。(笑)。

それでは秀山さんご自身はどのようなお子様でしたか。

そうですねえ。
小・中学校まではあまり勉強しなくて毎日野球ばっかり。
中学校は軟式で、高校時代は硬式をやってたね。

昔は苦手だったけれど克服したことはありますか?

1番苦手なのは水泳。
今でもカナヅチだから水が怖い(笑)。


「実はこんな特技があります」っていうものはありますか?

若い時はゴルフでホールインワンと、イーグルをとったことがあるんですよ!
若い時はみんなゴルフの時代やったからね。
最近は膝が悪くてしてないけど、膝が頑丈であれば今でもゴルフに行きたい。

自分の中で昔から変わらないところってありますか?

性格だね。
あまり興奮しないところ。
というのも、自分自身が興奮している姿を見たくないんです。
興奮した時は自分自身は気性を抑えて、 辛抱します。
興奮したとしても、ある程度時間たったらフッとおさまるんです。
だからのんきなタイプなんかな(笑)。
あまり嫌なことを表面に出すと、人から嫌がられるからね。

自分自身の気性を落ち着けるコツは何でしょうか?

機嫌悪い時はね、唄が出る。
悪い時は唄で紛らわして気を収めるようにしてる。
唄でごまかすみたいな感じかな。
うちの工場は密室やから、 少々声を出しても支障ないからな。
でも機嫌がいい時でも唄が出ちゃうんですけどね(笑)。

ベストな環境ですね。^ - ^
ちなみに、どのようなアーティストが好きでしたか?

僕らの高校時代は丁度東京オリンピックがあった頃でね。
御三家と呼ばれてた、舟木一夫(ふなきかずお)、橋幸夫(はしゆきお)、西郷輝彦(さいごうてるひこ)みたいな歌手達が一世風靡してたんです。
その時代が僕の青春時代やったんですわ。
唄で好きなのは、古い歌謡曲ね。
歌手の名前で言うたら三橋美智也(みはしみちや)この人が一番大好き。
好きになったきっかけは声。
高音が通る声に惹かれて、今だに大ファンやもん。
小学生4、5年ぐらいに初めて聞いてんけど、歌詞の意味はわかってないものの、グッときたもんね~。
僕らの年代の人は、三橋美智也の他にも、春日城(かすがしろ)とか、三波春夫(みなみはるお)が好きな人が多かったね。
中でも、三橋美智也はいまだに変わらない魅力があるね。
小さい頃の好きな時の気持ちと一切変わらない。
声を聴くと昔を思い出したりして、聞いたら今だに涙が出てくるもん。

何か思い入れのある曲があるのですか?

思い入れのある曲というよりも、三橋美智也という人間が好き。

先ほど「ストレス発散」で唄われているというのも?

もちろん三橋美智也(笑)。

ありがとうございます。
それでは「今と昔の自分で随分変わったな」と思うことは何でしょうか?

人間って家の中と外、多少違うと思うねんけど、 家のもんから言わせたら僕は「外面が良い」と。
逆に家の中は娘から「お父ちゃんはダメ」と言われる(笑)。

どういうところを指摘されるのですか?

「ド偏屈」。
僕の時代は頭ごしに喋るから子供は嫌がるよね。
家の外では話をよく聞くんですけど、家では一切きかない(笑)。

そうなんですか!
それでは今は表の感じなんですね(笑)。

最近はもう家の中も外も一緒になってきたけどね。
そうでないと子供はついていけんもん。

では話を変えまして、生野区で今と昔変わったなって感じることはありますか?

目に見えて言えるのは、人が少なくなってる事かな。
活気がなくなって、仕事の業種も減っていってる…

私の地元は伊丹なんですけど、伊丹から生野の方に来させていただいていて、生野にはコリアンタウンがあったり大きいお祭りがあったり、 すごく賑やかだなという印象を抱いたんですけど?

生野祭りは結構大きいイベントやけど、その他のイベントは町内会で小さくしていると思います。

生野まつりは秀山さんも参加されたのですか?

一応警備で参加したね。
生野まつりには、もうかれこれ20年近く参加さしてもうてるよ!


ありがとうございます。
では、自分の歴史の中で「今思えばこれが自分の転機だったな」と思う場面はいつ頃ですか?

さっき言うた事を繰り返しますけど。
協力工場の三ツ葉さんと、リゲッタの古川さんのお二人と知り合うきっかけです。
それまでリゲッタの仕事はしてなかったんやけど、古川さんが裁断場を探してはったタイミングで三ツ葉さんが私を推薦してくれて、 古川さんから「リゲッタの裁断できますか?」と電話をもらったんですわ。
それが私の転機。
その時に、三ツ葉さんと古川さんが他の裁断場を紹介すれば、リゲッタとの付き合いはなかったんで。
三ツ葉さんと古川さんには今だに感謝しています。
これは常に思っています。
仕事で嫌な事があった時は、縁が繋がってチャンスをもらった時の事を思い出して今まで頑張ってきました。

それでは、秀山さんが「これは経験していて正解だったな」と思うことは 何かありますか?

話ぶり返すけど その時の私は他の業者の仕事をしていましたから、その時に「どっちに行くか?」という判断です。
その時の僕の判断が間違ってたら悪い結果になってたかもわからへんしね。
僕はあの時の判断が正解やったと思ってます。

何かを判断される時に、秀山さんの中で軸になっていることは何ですか。

やっぱり「人柄」やね。
この人は信用できるか、できないかという人間性ね。
もちろん、すぐにはわからないけどね。
その点三ツ葉さんとは長年ずーっと付き合いしているから信頼関係もあったし、その人の紹介でリゲッタから電話があったからね。

1人では決められないですもんね。

仕事を依頼する側とそれを受ける側、双方の思いが一致しないと決められないからね。


では、最後の質問です。
未来は何をしていきたいですか。

私に未来の話言うたら失礼やで(笑)。
最後にリゲッタの高本社長の話をしてもいいかな。
高本社長とは前に1回お会いしてね、私の仕事内容をちょっと説明さしてもらったんです。
あの当時、私の仕事の契約年数を5年までなんとか面倒みてくださいとお願いして、約束してもらったんですわ。
これを今、撤回させてもらいたい!
孫3人が小学校入るまで、追加であと5年延長さして貰えるか、 それを社長にお願いしたいです(笑)。
孫が小学校入るまで、仕事の確保の方よろしく!(笑)
でも、それで私の人生もう終わりやから。
孫が小学校入る時には、私の役目も終わると思うんです。
延長してあと5年!

お孫さんに色々してあげたいですもんね。

そうですね。
元気なうちに仕事頑張ってある程度小遣い渡したいしね。
やっぱり3人の孫が小学校に入るまで応援したいし。
これが私の人生の最後の願いです。
これ本音やで。
今の若い夫婦は生活苦しい人達も多いやんか。
たくさんはできないけど私らが元気なうちに影ながら応援してあげたいと思うねん。
それにはまず健康でないといかんね!

これからおじいちゃんに遊んでもらいたい年頃になっていくんでしょうね。

そやな。 リゲッタさんでほんまに最後やからね。
転職するような年じゃないから。
最後はリゲッタさんの仕事で終わりたいからその時まで元気で頑張れたらな。

ぜひ生涯現役で頑張ってください。
それでは質問内容は以上です。
ありがとうございました!

ありがとうございました!
【番外編】
今回取材をさせていただいた「秀山裁断」の秀山さん。
打ち合わせをしていると、近所に長年通い続けている喫茶店がある事を教えて頂きました。
生野の職人さんにとって喫茶店は身近な存在なのだそう!
思いもしなかった結びつきに、ぜひ詳しいお話をうかがいたく、 特別に秀山さんと『喫茶 茶異夢(チャイム)』のママさんに インタビューを引き受けていただきました!



お名前と、皆さんから何と呼ばれているか教えていただけますか。

森本清実(もりもと きよみ)といいます。
皆さんからは「ママ」で呼ばれています。

お店の名前の由来を教えていただけますか。

ある日父親が喫茶店を開業する事を決めて。
娘の私たち3人に喫茶店の店名の候補を募って、その中から選ばれた案を出した人に賞金3万円を渡すっていうことをして決めましたね。

お店の自慢料理は何ですか?

モーニングかな。
主にサンドイッチとドリンクセットで。

秀山さんのお好きなメニューは何ですか?

何やろう。
ミックスサンドじゃない?

秀山さんはいつから通われるようになったか覚えられていますか?

秀山さんのお母さんの代から来て下さってるよね。
あとお爺さん、お婆さんも。 だから設立40年ずっとかな。
息子さんのサッカーの練習前に来ることもあったよね。

うん、創業当時から。3~4世代でお世話になっているお店やな。

秀山さんにとって他の喫茶店と「茶異夢」さんの違いとは何ですか?

雰囲気がね、ホッとするんですよ。
安らげる空間でね、メニューの種類も色々あるし。


程よい明るさの照明に落ち着いた雰囲気の内装ですが、 ママさん自身ホッとできる空間を作るために 何か気を配られていることがあるのですか?

空間というより、お客さんとの関係性は大切にしています。
中でも個人情報を漏らさない事は絶対かな。
あとお客様にはこちらからは声をかけすぎず、お客様のほうから声をかけられたらお話させてもらっていますね。
お話したい人は自分からお話してくるやろうし。
今思えば母からは「(お客様の)自分の時間」を尊重する気持ちを引き継いだのかなと思います。
だからしょっちゅう来て下さっていて、顔も覚えているお客様でも何をしている人なのか知らないなんてこともありますね(笑)。


店内にポスターが貼られていますが、こちらの喫茶店ではイベントもされているのですか?

そうですね。
寄席とか音楽とか、生野の町の人達に文化に 触れてもらえたらいいなと思ってやっていますね。
お昼には元気なシニア向きにカラオケ大会をするのもいいかなと考えています。

生野の職人さんは朝ご飯を喫茶店に食べに行って仕事を始めると伺ったのですが、やはり40~50年前からたくさんの職人さんが来られていたのでしょうか?

どちらかというと職人さんとメーカーさんが交渉とか事務所として ここを利用して下さることが多かったですね。
職人さん達にはモーニングとかコーヒーの出前なんかもしていましたよ。

インタビューは以上です。
ありがとうございました!


ありがとうございました。
お客様との距離感を尊重されているママさん。
そんな心遣いがお仕事で疲れた職人さんたちにとって、 仕事や日常から離れて一息つける憩いの場をつくりあげていたのだろうなと、インタビューを通して感じました。
生野の職人さんを陰ながらサポートされてきた「茶異夢」さんは 職人さんだけじゃなくイベントを通して地域の方たちからも 愛される喫茶店として営業されています!
この度はインタビューにご協力いただき、ありがとうございました!!
『喫茶 茶異夢(チャイム)』
【住所】
大阪府大阪市生野区巽西1-4-31
【営業時間】
平日:7時前~14時 土日祝:7時~ランチなしで13時まで
